コミュニティ・バンクに係る政策・制度設計調査 報告書
市民が自発的に出資した資金により、NPOをはじめとする市民事業や個人などに融資することを目的にした「NPOバンク(金融)」は、1994年に東京ではじめて設立され、その数も全国で10を超えようとしている。また、多重債務者等の自立生活支援を主な目的とした小額無担保による融資、いわゆる「マイクロファイナンス」は1969年から活動を開始している。
一方、信用金庫や信用組合など協同組織金融機関は、明治時代半ば以降に各地で設立され、“会員や組合員の相互扶助”や“一般の金融機関から融資を受けにくい立場にあるものへの融資”などを目的として、地域社会での役割を担ってきた。
しかし、金融業関連の法制度の課題から「NPOバンク」の活動が制限され、またバブル景気崩壊後、金融機関による中小企業や小規模事業所等への融資が滞り、地域金融のあり方が問われている。
現在、日本各地で顕在化し、今後さらに大きな問題に発展する可能性の高い『金融的弱者』を対象とした新たな非営利金融システムを築くための政策提案を目的として、現状の調査及び論点の整理等の取組みを行い、本報告書としてまとめるに至った。
具体的な制度設計については、今後の課題として多方面でさらなる検討が重ねられることを期待する。
<構成>
- 社会の変容と『金融的弱者』の発生、地域社会を支える基盤作り
- 現在の金融システムと地域金融
- 非営利金融の枠組み
- 市民設立による非営利金融機関
- 海外で行われている非営利金融制度
- 提 案 わが国でのnon─profit 金融機能の創出の必要性